「税込で書くの? 税抜でもいいの?」
メニュー表の値段の欄を作っていると、ここで手が止まります。
税抜で書いて、あとから指摘されたら困る。
でも調べると、出てくるのは経理向けの説明ばかりです。
自分のメニュー表のどこを直せばいいのかは、なかなか見えてきません。
先に、この記事の結論として、
メニューの値段は、お客様が払う税込の金額が一目で分かるように書きます。
消費税を納めなくてよいお店(免税事業者)は、このきまりから外れます。
税込の金額を書くこのきまりが、いわゆる「総額表示」です。
自分の書き方が合っているかは、この早見表で確かめられます。
| 区分 | 書き方の例 |
|---|---|
| ○ 認められる | 11,000円 11,000円(税込) 11,000円(税抜価格10,000円) |
| △ 見せ方に注意 | 10,000円(税込価格11,000円) 9,800円(税込10,780円) |
| × 認められない | 「税抜」「税別」「本体価格」の金額だけの表示 税抜の金額のあとに「+税」とだけ続ける表示 |
△は、すぐにきまり違反になるわけではありませんが、税抜の金額が先に目に入るので、見せ方に気をつける書き方です。
○△×は公式の区分ではなく、読みやすさのための整理です。
メニュー表は、税込で書いておけば迷いません。
- きまりの中身と、対象になる値段
- 認められる書き方と、避ける書き方
- 税抜も並べるときの気をつけ方
- 店内とお持ち帰りで値段が違うとき
- サービス料・端数・見積り例の答え
- メニュー表の値段の欄の決め方
- 税率の引下げ案と、確かめ先
きまりの中身と、どこまで対象か

では、このきまりは、誰の、どの値段に当てはまるのでしょうか。
もとになっているのは、消費税法の第63条です。
お客様に前もって見せる値段は、消費税をふくめて書くことになっています。
きまりの中身(誰に・何に・いつから)
中身は、次の4つです。
- 対象は、お店などの事業者です(消費税を納めなくてよい免税事業者は除きます)。
- 当てはまるのは、メニュー表のように、お客様みんなが前もって見る値段です。決まったお客様にだけ出す見積書は入りません。
- 書くのは、消費税をふくめた金額(税込価格)です。税率(10パーセントや8パーセント)の中に、地方消費税の分も入っています。
- 令和3年4月1日から、税込で書く必要があります。
それまでは、税込と間違えられないようにしていれば、税抜の金額だけを書いてもよい特例がありました。
自分のお店が免税事業者にあたるかは、売り上げで見当がつきます。
個人のお店なら、おおまかには、2年前の1年間の売り上げ(課税売上高)が1,000万円以下だと、免税事業者です。
会社なら、事業年度(決算の期)が1年のときは、2つ前の事業年度の売り上げで見ます。
ただし、次のときは、免税事業者になりません。
- 前の年(会社は前の事業年度)の最初の6か月で、売り上げも、払った給与などの合計も、1,000万円を超えたとき
- インボイス制度に登録しているとき
ほかにも例外や細かい決まりがあるので、はっきりさせたいときは、税務署で確かめてください。
メニュー表だけでなく、どこまで対象か
どこに書く値段かも、関係ありません。
| 対象になる | 対象にならない |
|---|---|
| メニュー表 店頭の表示 チラシ 広告 | 値段を書いていないとき 口で伝える値段 |
メニュー表も、お客様に前もって値段を見せるものなので、このきまりに当てはまります。
チラシや、ホームページ・SNSなどネットに載せる値段も、メニュー表と同じ書き方にそろえておきましょう。
この書き方なら大丈夫、
この書き方は避ける

誰の、どの値段かが分かれば、あとは書き方を決めるだけです。
認められる書き方は、国税庁と財務省が7つの例で出しています。
どれも、店内で食べるときの税率(標準税率・10パーセント)がかかる商品の例です。
- 11,000円
- 11,000円(税込)
- 11,000円(税抜価格10,000円)
- 11,000円(うち消費税額等1,000円)
- 11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
- 11,000円(税抜価格10,000円、消費税率10パーセント)
- 10,000円(税込価格11,000円)
「税込」の文字は、書かなくても構いません。
金額が税込なら、それで足ります。
お客様に伝わるか気になるなら、「税込」と添えても構いません。
税込の金額のそばに、税抜を書き添えることもできます。
避ける書き方
税込の金額が書かれていない表示は、消費税法第63条のきまりを満たしません。
次のような表示が、これにあたります。
- 「税抜」「税別」「本体価格」の金額だけの表示
- 税抜の金額のあとに「+税」とだけ続ける表示
店に並ぶ商品の値札は、棚札(棚に付ける札)やPOPで税込の金額が一目で分かれば、税抜だけでもよい扱いがあります。
この扱いの例に、メニュー表は出てきません。
メニュー表では、この扱いに頼らず、税込で書くのが確実です。
税抜きの値段も
並べたいときに、気をつけること

税込で書いたうえで、税抜も添えたい。
そう考えることもありますよね。
並べて書くこと自体は、認められています。
気をつけるのは、税込でいくらかが一目で分かるかどうかです。
税抜を目立たせすぎて、お客様が勘違いするような見せ方は、このきまりを満たしているとはいえません。
税込の金額が、一目で分かるように
国の考え方には、文字の大きさを「何ポイント以上」と決めた数字は出てきません。
見やすいかどうかは、次の3つを合わせて見ます。
| 見るところ | 確かめること |
|---|---|
| 文字の大きさ | 税込の金額が、小さすぎて見落とされないか |
| 文字の間と 行の間の余白 | 詰まっていて、税込の金額が見づらくないか |
| 背景の色との 対照 | 背景と文字の色が、はっきり違うか |
たとえば、こんな組み合わせは見分けにくくなります。
- 明るい水色の背景に白い文字
- オレンジの背景に白い文字
- 黄色の背景に白い文字
背景の色との差が小さいときは、税込の金額に下線を引くなどして、見やすくする必要があります。
税抜を先に書く
「9,800円(税込10,780円)」は、どうか
税抜を先に書いて、税込を括弧で添える形です。
この書き方だけで、すぐにきまり違反になるわけではありません。
ただし、税抜の文字を大きくしたり、色を変えたりして、税込が見づらくなると、話は別です。
お客様が勘違いしたり、トラブルになったりするおそれがあるからです。
お客様が9,800円を税込だと思えば、景品表示法(実際より得に見える表示などを禁じる法律)の問題にもなりかねません。
10,000円(税込価格11,000円)も、7つの例に入っている書き方です。
税抜が先に出る形なので、早見表では△にしています。
迷ったら、10,780円のように税込の金額を主役に書いておけば、この心配はありません。
税込と書いて税抜の金額を載せる表示は、
別の問題になります
景品表示法をもとに、実際に命令が出た例もあります。
令和6年7月、消費者庁は、飲食店の料理と飲み物の値段の表示をやめるよう命じました(この命令を措置命令といいます)。
グルメサイトでは、値段に「(税込価格)」と書きながら、実際は消費税をふくまない金額でした。
SNSの投稿でも、税抜の値段を、税込の値段のように見せていました。
「税込」と書くなら、その金額は本当に税込の金額にします。
店内で食べるときと、
お持ち帰りで、値段が違うとき

お持ち帰りもしているお店なら、ここも迷いやすい所です。
| 食べる場所 | いまの税率 |
|---|---|
| 店内で食べるとき | 10パーセント |
| お持ち帰り・出前(お酒をのぞく) | 8パーセント (軽減税率) |
同じ料理でも、税込の金額が変わることがあるわけです。
書き方は、次の3つから選べます。
- 店内とお持ち帰りの両方の税込価格を、メニューに並べます。税抜や消費税の額を一緒に書いても構いません。
- 店内か、お持ち帰りか、どちらかの税込価格だけを書きます。もう片方がなくても、このきまりには違反しません。
- 税抜の値段を調整して、店内もお持ち帰りも同じ税込価格にそろえます。それを1つだけ書きます。
どれを選ぶかは、お店の判断です。
片方だけにするのは、たとえば、お客様のほとんどが店内で食べるときや、書く場所が足りないときです。
片方だけ書くときは、注意が要ります。
お持ち帰りの値段だけを書いて、お持ち帰りの値段だとはっきり書いていないと、店内でも同じ値段だと思われかねません。
実際より得に見えるので、景品表示法の問題になるおそれがあります。
値段が違うことは、店内の目立つ場所に貼り出すなどして知らせておきましょう。
別価格の注意書きは、次のように添える例があります。
| メニュー | 添える注意書き |
|---|---|
| 店内の値段だけを書いたメニュー | 「※テイクアウトの場合、税率が異なりますので、別価格となります。」 |
| お持ち帰りや出前の値段だけを書くメニュー | 「※店内飲食の場合、税率が異なりますので、別価格となります。」 |
国の資料の例では、ハンバーガーが330円(お持ち帰りは324円)です。
オレンジジュースは165円(お持ち帰りは162円)です。
お持ち帰りのほうが税率が低いので、税込でも店内より安くなります。
上の図の金額は、国の資料の例をそのまま使っています。どちらも、現在の税率での例です。
お持ち帰りの税率は、令和9年4月から下げる案が出ていますが、まだ決まっていません。
サービス料・端数・
見積り例で迷ったとき

値段の欄の形が決まっても、細かい所で手が止まることがあります。
どれも、答えははっきりしています。
サービス料を取るとき
メニューの値段を税込にしても、サービス料の割合は変えなくて構いません。
サービス料を、税込の値段にかけている場合です。
サービス料を取るお店なら、メニューに「上記税込価格にサービス料として10%を頂戴いたします。」と書いておく例があります。
レシートは、次のようになります。
| レシートの例 | 金額 |
|---|---|
| ディナー | 3,300円 |
| サービス料10% | 330円 |
| 合計 | 3,630円(内消費税330円) |
「内消費税」の330円は、料理とサービス料を合わせた3,630円の中にふくまれている消費税の額です。
サービス料の330円とは、別のものです。
税込にしたときの、1円未満の端数
10パーセントや8パーセントの税率で税込の金額を出すと、1円未満の端数が出ることがあります。
次のどれにするかは、お店ごとに決めて構いません。
- 切り捨てる
- 切り上げる
- 四捨五入する
見積書・請求書は対象外、でも
ホームページの「見積り例」は対象
決まったお客様に出す書類と、誰でも見られる例とで分かれます。
| きまりの対象外 | きまりの対象 |
|---|---|
| 見積書 契約書 請求書 (お客様ごとに出す宴会の見積書も同じ) | 広告やホームページに載せる「見積り例」 (たとえば「宴会プランの料金例」) |
「見積り例」は、誰でも前もって見られる値段なので、当てはまります。
メニュー表の値段の欄を、
きまりから決める

ここまでの答えを、いまのメニューに当てはめてみましょう。
確かめるのは、次の5つです。
- 値段の欄に、税込の金額があるか(税抜だけになっていないか)
- いちばん目立つのは、税込の金額か(税抜も書くなら、税込が一目で分かるか)
- 店内とお持ち帰りで値段が違うなら、3つの書き方のどれにしたか(別価格の注意書きは、値段の近くに)
- サービス料を取るなら、どの値段にかけるのかが分かる一文(「上記税込価格に」など)があるか
- チラシやネット(ホームページ・SNSなど)に載せる値段も、メニュー表と同じ書き方か
これから変わるかもしれないことと、
公式の確かめ先

ここまでは、いまのきまりの話です。
ただ、この先変わるかもしれない話も出ています。
これから変わるかもしれないこと
(まだ決まっていません)
まだ決まっていません。
決まるまでは、いまのきまりのとおりに書きます。
- 令和9年4月から2年間、飲食料品の消費税率を下げる案が出ています
- 案では、お持ち帰りや出前は下げる対象に入り、店内で食べる分(外食)は入っていません
- 案が通っても、税抜価格だけや、「+税」とだけ続ける書き方は、認められない扱いです
- 国税庁の特設サイトにあるのは、法案が通ったときの内容です
くわしくは、国税庁の特設サイトで確かめてください。
アレルギーの書き方は、
公式の案内で確かめてください
メニュー表を作るとき、アレルギーの書き方も気になりますよね。
- アレルギーの表示は、税込の書き方とは別のきまりです
- アレルギーの表示を国が義務にしているのは、容器包装された加工食品(袋や容器に入れて売る加工食品)です
- お店で出す料理やお持ち帰りの食事は、消費者庁が別のページで案内していて、お店向けのパンフレットもそこで見られます
くわしくは、消費者庁の「食物アレルギー表示に関する情報」と「外食・中食での食物アレルギーについて」で確かめてください。
迷ったときの確かめ先
自分のお店ではどうなのか、迷うこともあるでしょう。
たとえば、自分のお店が免税事業者にあたるのか。
値札の例外を、メニュー表で使ってよいのか。
くわしい決まりは、国税庁の「税についての相談窓口」で確かめてください。
窓口では、ネットのチャットボットや電話で相談できます。
個別の判断は、税務署や税理士にご確認ください。
よくある質問
メニューに「税込」と
書かないといけませんか?
書かなくても構いません。11,000円のように、金額が税込で書かれていれば、総額表示になります。お客様に分かりやすくするために、11,000円(税込)と添える書き方も認められています。
税抜きの値段だけを
載せてもよいですか?
税抜の値段だけでは、消費税法第63条のきまりを満たしません。ただし、棚札やPOPで税込の金額が一目で分かれば、商品の値札は税抜だけでもよい扱いです。この扱いの例にメニュー表は出てきませんので、税込で書いておけば迷いません。値札のように書きたいときは、税務署で確かめてください。
免税事業者でも、
メニューを税込に
しないといけませんか?
免税事業者は、税込で書くきまりの対象から外れています。消費税を納めなくてよい事業者のことです。
店内とお持ち帰りで
値段が違うときは、
どう書けばよいですか?
書き方は3つあります。両方の税込価格を書く。片方だけ書く。同じ税込価格にそろえる。お持ち帰りの値段だけを書くときは、お持ち帰りの値段だとはっきり示します。示さないと、店内の値段も実際より安く見えるおそれがあります。
税込にしたとき、
1円未満の端数はどうしますか?
切り捨て、切り上げ、四捨五入のどれにするかは、それぞれのお店の判断です。
レシートに消費税を
表示する義務はありますか?
値段の書き方(総額表示)のきまりでは、消費税の額を書くかどうかは、それぞれのお店の判断です。書かなくても、このきまりに違反するわけではありません。インボイス制度に登録しているお店が、事業者のお客様に求められて渡すレシート(インボイス)は、書く項目が別に決まっています。
まとめ
- メニューの値段は、お客様が払う税込の金額が一目で分かるように書きます。「税込」の文字はなくても構いません
- 税込の金額が書かれていない書き方は、認められません。「税抜」「税別」「本体価格」だけの値段や、「+税」とだけ続ける値段です
- 税抜も並べるなら、税込が一目で分かる見せ方に。税抜を目立たせすぎると、トラブルのもとになりかねません
- 店内とお持ち帰りで値段が違うときの書き方は、3つから選べます。片方だけ書くときは、どちらの値段かをはっきり示します
- 令和9年4月からの飲食料品の税率引下げは、2026年11月の時点では、まだ決まっていません。アレルギーの書き方は、消費者庁の案内で確かめてください
まずは、いまのメニュー表の値段の欄を、早見表と見比べてみてください。
×なら、早見表の○の形(11,000円、11,000円(税抜価格10,000円)など)に直します。
△なら、税込が一目で分かるかを見直しましょう。
メニュー表を作る・直すときや、お店の集客全体を考えるときは、次の記事も役に立ちます。



